概要
Litera は、大手法律事務所の多くがすでに稼働させている文書作成・ドラフティングの基盤です。Compare、Draft、Kira、Transact、Foundation、DocXtools、pdfDocs など約20のモジュールで構成され、Tracxn が2026年4月時点で記録する18件の買収を通じて組み上げられました。2019年5月以降は Hg が過半数を保有しています。2026年7月15日、同社は1つの主張を軸に再ローンチしました。Lito という名前の AI エージェント1つと、法務実務と法律事務所経営の双方をカバーするデータセット1つ、という構成です。CEO の Avaneesh Marwaha は、資金調達済みのスタートアップに対して立場を正面から示しています。「Every AI startup in legal is selling a feature. We’re selling the platform those features run on.」
この再ローンチは、あくまで実態どおりに読んでください。Litera は7月に新しいプラットフォームを出したのではなく、すでに持っていた入り口の名前を変えたのです。製品カタログは Kira、Litera Compare、Litera Transact、Foundation などを引き続き個別の SKU として掲載しており、それらが Practice of Law、Business of Law、Corporate Law に再編されただけです。Artificial Lawyer はこれを新しい Litera ではなく「more of a marketing and brand awareness shift」と評しており、その読みは製品ページと突き合わせても崩れません。
実際に新しいのはライセンス条件です。2025年10月27日、Litera は Lito を Draft Base、Draft Pro、Draft Advanced、そして Kira に追加費用なしで組み込みました。新規顧客も既存顧客も対象で、資本市場、M&A、事業開発、訴訟、コンプライアンスにまたがる11個のリーガル AI スキルが標準で付きます。2026年8月の ILTACON では、Lito の範囲が Draft、Review、Negotiate、Protect、Close という5つの連結した機能として再提示され、あわせて Firm AI Search と Business Development Intelligence という2つの新製品が発表されました。
Legal Ops スタックに入る理由
- ロックインは文書比較であり、そこは動いていません。 Litera は月間1,000万件の文書比較、Am Law 100 の99%をカバー、ロゴリテンション99%を公表しています(ベンダー数値、2026年7月15日)。また Draft Base の比較エンジンを市場の75%が使っていると打ち出していますが、これもベンダーの主張であり、根拠は公表されていません。実際のシェアがいくらであれ、大手事務所のトランザクション業務のレッドラインはこのエンジンを通ります。AI 単体では落ちるはずのショートリストを Litera が生き残る理由はそこにあります。
- Lito は弁護士がすでに開いているアプリの中で動きます。 Word、Outlook、Google Workspace、Chrome、Edge、Safari、iOS、Litera のデスクトップアプリ、そして iManage と NetDocuments のリポジトリに直接つながります。2つ目のログインも2つ目のコーパスも要らない、という点が主張のすべてです。定着せずに AI 導入を一度失敗させた事務所にとっては、このページで最も強い論点になります。
- 生成 AI レイヤーにはオフスイッチがあります。 Litera は、生成 AI を完全に無効化してもルールベースのエンジンは動き続けると説明しています。モデルは OpenAI、Anthropic、Gemini の間でルーティングされ、ISO 27001、SOC 2 Type 2、SOC 3、GDPR、NIS 2、DORA に準拠します。パートナーが顧客文書を確率的モデルに通すことを認めない事務所にとって、これは Harvey や Legora が出せない調達上の回答です。
- 事務所経営側のカバー範囲は、ドラフティング系の競合が届かない水準です。 Foundation 365(2025年2月の Peppermint Technology 買収)は、世界の上位10事務所のうち5社に導入されています。CRM、ピッチ、スコーピング、リレーションシップインテリジェンスが、ドラフティングのモジュールと同じデータセット上に載ります。
価格
見積もりのみ。2026年9月8日時点で、見積もり専用であることを確認済みです。 litera.com/contact-us はデモ申込フォームに遷移し、litera.com のどこにも料金表はありません。
ストアは存在します。store.litera.com が Draft Base、Draft Pro、Clean、pdfDocs を SKU としてカート付きで販売しています。ただし価格はログインの後ろでしか表示されないため、公開価格ではありません。サードパーティのディレクトリは Litera Compare を $195/ユーザー/年、Draft Pro を $1,900 前後としていますが、いずれも課金単位が明示されていないアグリゲーターの推定値であり、ベンダー確認済みのレートではありません。どちらもビジネスケースの土台にはできません。弁護士がおよそ10名を超える事務所は、営業経由でシート単位のエンタープライズ契約が提示されます。
見積もりを実際に動かす変数は、シート単価ではなくモジュール数です。多くの事務所は3〜5モジュールを購入し、Draft Pro だけでも現在 Litera Compare Desktop、Contract Companion、DocXtools Companion、Best Authority が含まれます。「Compare だけ」という話が、そこで静かにプラットフォームの話に変わります。先にモジュールを、そのあとにシートを詰めてください。
こんな場合に向いている
すでに Litera Compare を運用していて、AI 導入を弁護士がすでに働いている場所に着地させる必要がある、Am Law 200 または大規模ミッドマーケット事務所の IT / legal ops 責任者。 Lito が追加費用なしで含まれることで、既存ベンダーを使い続ける選択肢が、競合のどのパイロットよりも安くなります。事務所の AI プログラムを潰すのはモデル品質ではなく定着です。
AI を目当てにこのプラットフォームを買ってはいけません。 決め手がリサーチの深さ、前例のない法的推論、事務所固有のエージェントワークフローであれば、Litera はその場で最も強い製品ではありません。Marwaha 自身のピッチもその領域は譲っています。弁護士10名未満の事務所は、ストアで Draft パッケージを買ってそこで止めるべきです。
代替候補との比較
- Harvey — 純粋なリーガル AI アシスタントとしては上で、Litera にはない MCP サーバーも提供しています。リサーチ、ゼロからのドラフティング、事務所固有のエージェントワークフローが業務の中心なら Harvey です。
- Thomson Reuters CoCounsel — Westlaw が軸で、リサーチとレビューを1本の請求にまとめたい場合はこちらです。
- Legora — 事務所側リーガル AI で最も伸びている新規参入で、Marwaha が脅威として名指しするベンダーです。AI ネイティブなレビュー画面が欲しく、Compare は別建てで残す前提ならこちらです。
- Intapp — 事務所経営側で Foundation 365 と真正面からぶつかります。コンフリクト、インテーク、リスクでは Intapp が強く、ドラフティングが範囲に入った時点で Litera が強くなります。詳しい整理は intapp-vs-litera にあります。
- Spellbook と Definely — プラットフォームを買う気のない小規模事務所やインハウスチーム向けの、より安価な Word ネイティブの選択肢です。
- Kira Systems — Litera 自身のデューデリジェンスモジュールで、単体でも販売されています。バンドルに含める前にそのページを読んでください。
注意点
- 再ローンチはブランド側の話で、その裏側の統合は終わっていません。 Kira と Lito はいまも別々の画面として動作し、Kira の条項モデルは ML 時代のものに生成レイヤーを重ねた構成で、作り直しではありません。ガード: パイロットで実際の案件を1件、Draft、Kira、Transact をまたいで最後まで通し、文書の再アップロードが必要になる引き継ぎを数え、失敗した箇所について営業チームに期日をコミットさせてください。
- Lito は今日は無償で、明日の商用条件は未定です。 Marwaha は「too early to call the commercial aspects of Lito」と述べ、将来のオプションスキルは別課金になりうるとしています。ガード: Lito が含まれることを更新価格固定で契約期間に書き込み、将来スキルの課金方式をロードマップ資料ではなく契約書に明記させてください。
- 公開価格がなく、ストアの価格もログインの後ろにあります。 ガード: 同じシート数で単体構成とフルプラットフォームの見積もりを書面で取り、更新時の値上げを含む3年コストを試算してから、シート課金の AI ベンダーと比較してください。
- 外部エージェント向けの MCP サーバーはありません。 Lito は事務所の中央ガバナンス下で MCP コネクタを消費する側であり、向きが逆です。自社の Claude 環境や社内エージェントから Litera を照会することはできません。ガード: エージェント側からのアクセスが重要なら、告知されていないコネクタを待つのではなく、評価期間中に developer.workshare.net の Compare Server API を使う工数を見積もってください。
- 20を超えるモジュールがあるということは、デモは見積もりではないということです。 ガード: デモで見せた機能ごとに、どのモジュールとどのパッケージに属するかを営業チームに注記させ、必要なものだけを見積もらせてください。