BANTとMEDICは、セールスの案件評価フレームワークです。BANT(Budget、Authority、Need、Timeline)は1960年代にIBMが作成した、単一の購買担当者を対象とするトランザクション型案件向けのチェックリストです。MEDIC(Metrics、Economic buyer、Decision criteria、Decision process、Identify pain、Champion)は、購買委員会が関与する複雑な案件向けに設計されたモダンなフレームワークです。SMBや短い営業サイクルにはBANTを使用し、ミッドマーケットおよびエンタープライズにはMEDIC(またはMEDDDPICC)を使用してください。
比較表
| 項目 | BANT | MEDIC |
|---|---|---|
| 起源 | IBM、1960年代 | PTC / Jack Napoli、1990年代 |
| 購買モデル | 単一の意思決定者 | 購買委員会 |
| 案件規模 | 2,500万円以下 | 5,000万円以上 |
| サイクル期間 | 数日〜数週間 | 数カ月〜数四半期 |
| アウトプット | 合格・不合格スコア | 案件マップとギャップリスト |
BANTは「引き続き営業すべきか?」を問うフレームワークです。MEDICは「まだ把握できていないことは何か、誰から情報を得る必要があるか?」を問うフレームワークです。
BANTで十分なケース
1人の意思決定者が数回の商談でサインできる場合、BANTは機能します。2,000万円以下のACVのSMB SaaS、トランザクション型セルフサーブ、eコマースツールが該当します。4つのチェック項目は次の通りです。
- Budget(予算)。 今期の予算があるか?
- Authority(権限)。 商談相手がサイン権限者か?
- Need(ニーズ)。 課題が定量化できるか?
- Timeline(タイムライン)。 意思決定を迫る外部要因があるか?
4項目中3項目が弱ければ、案件を失格またはダウングレードしてください。
MEDICが必要なケース
案件に2つ以上の部門、セキュリティレビュー、または調達プロセスが絡む場合、BANTは機能しなくなります。「Authority」はもはや1人ではなく、承認チェーン全体を指します。MEDICが補完する構造は次の通りです。
- Metrics(指標)。 定量化されたビジネスインパクト(「AE1人あたり週12時間の削減」など)。
- Economic buyer(経済的購買者)。 承認なしに支出を決定できる唯一の人物。
- Decision criteria(意思決定基準)。 先方が比較検討する項目のリスト。
- Decision process(意思決定プロセス)。 現在から契約締結までの手順。
- Identify pain(課題特定)。 購買者自身の言葉で診断・認識された課題。
- Champion(チャンピオン)。 あなたが不在の場でも内部で推進してくれる社内支持者。
MEDDDPICCはDocuments(書類プロセス)、Decision criteriaの独立フィールド、Competitionを追加します。多くのエンタープライズチームでMEDDDPICCが事実上の標準となっています。
実践的な推奨事項
セグメントごとに1つのフレームワークを選択し、CRMのステージ定義に組み込んで徹底してください。両方を同時に追跡しようとしないことです。エンタープライズ向けのMEDDDPICCフィールドをSMB案件に適用するミッドマーケットチームは、データが粗くなり、担当者がフィールドの入力を停止します。
よくある落とし穴
- エンタープライズ案件にBANTをそのまま適用する。 Authorityは複数存在します。そうでないと思い込むと、根拠のない売上予測が生まれます。
- MEDICフィールドを推測で埋める。 「Champion:おそらくSarah」は空欄より有害です。空欄はギャップを示し、推測は根拠のない自信を示します。
- 更新サイクルを設けない。 MEDICは生きたドキュメントです。四半期末ではなく、商談ごとに更新してください。
関連項目
- ディスカバリーコール — 評価データを収集する場
- MEDDDPICC — MEDICのエンタープライズ拡張版
- チャンピオン育成 — MEDICのC(Champion)
- Salesforce — フレームワークを必須フィールドとして実装する場