テキサス州北部地区連邦地方裁判所の Brantley Starr 判事が 2023 年に生成 AI に関する最初の standing order を出したとき、対象となるツールが列挙されていました。ChatGPT、Bard、そして Harvey.ai です。連邦判事が 3 年前の証明義務の中で法律特化型の AI 製品を名指ししたにもかかわらず、今日その製品を導入している事務所の大半は、それについて 2 つの問いに答えられません。事務所内の誰がそのツール経由でどの案件を見られるのか、そして書面が出る前に誰が引用を検証したのか、という問いです。
このスタックが埋めるのはその空白です。4 層構成で、そのうちソフトウェアは 3 層だけです。
構成はこうです。Intapp Walls for AI が誰に何を見せるかを決めるコントロールプレーン、Harvey がドラフトを生む作業面、LexisNexis の Shepard’s — Harvey 内では Protégé 経由で到達できます — が引用検証層、そして文書化された AI 利用ポリシーと証明手順の runbook が、残る 3 層を法廷で弁護可能にする層です。
各要素のかみ合い方
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Intapp Walls for AI はコントロールプレーンであり、複製ではなく強制を行います。 Intapp は Harvey との提携を 2026 年 2 月 23 日に発表し、早期アクセス期間を経て 2026 年 7 月 23 日に一般提供へ移行しました。Intapp Walls for AI で遮断壁を作成または更新すると、Harvey は Threads、Vault、Review Tables、Shared Spaces、Workflows、Playbooks にわたって自動的に同期します。設計上の要点は、Harvey が第 2 のコンソールで壁を作り直すのではなく、ソースシステムから継承する点です。2 か所で維持される壁は、ずれていく壁です。Am Law 100 のうち 70 社超がすでに Intapp Walls を運用しており、同じ製品が Microsoft Copilot と Intapp 自社の Celeste エージェントも統制します。つまり、この連携は Harvey 固有でも、コントロールプレーン自体はそうではありません。
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Harvey は作業面であり、書面が実際に書かれる場所です。 2026 年 6 月時点で Harvey は 1,300 を超える組織で ARR 3 億ドルを突破し、2026 年 3 月には 110 億ドルの評価額が付きました。ガバナンスが任意ではなく緊急である理由は、この量にあります。ドラフト作業が単一のアシスタントに集まるほど、設定を誤った 1 つの権限は、1 人の弁護士のミスではなく事務所全体のエクスポージャーになります。
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Shepard’s が引用検証層です。 2025 年 6 月 18 日に発表された LexisNexis とのアライアンスにより、LexisNexis の一次法情報が Harvey の中に入りました。顧客は Protégé サービスを選択すれば、米国の判例法と制定法に根拠づけられた回答を、Shepard’s で検証された引用付きで得られます。Shepard’s は、その判例が破棄されたか、批判されたか、踏襲されたかを示します。裁判所が実際に制裁している失敗モードに対処する層は、このスタックの中でここだけです。
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文書化されたポリシーは構成要素であり、事務手続きではありません。 2024 年 7 月 29 日に公表された ABA Formal Opinion 512 は新しい規則を作りません。既存の Model Rules を生成 AI に写像するものです。すなわち、能力、Rule 1.6 に基づく守秘義務、依頼者への説明、裁判所に対する誠実義務、弁護士および非弁護士に対する監督義務、そして合理的な報酬です。これらの義務はいずれも、上の 3 層のいずれかの統制に対応します。ポリシーを書かずにソフトウェアだけを買った事務所は、何も証明できない能力を買ったことになります。
名前の付いた受け渡し
- Intapp で遮断された案件 → Harvey での強制。 Intapp Walls for AI で壁を作成・更新 → 自動同期 → その利用者の Threads、Vault、Review Tables、Shared Spaces から当該案件が消えます。アクセスを止めるのはシステムであり、自分が遮断対象だと弁護士が覚えていることではありません。
- Harvey での調査質問 → Shepard’s 検証済みの回答。 質問が Ask LexisNexis に振られる → Lexis の一次法に根拠づけられた回答が Shepard’s の評価付きで返る → 弁護士は、相手方が見つけた後ではなく、引用が書面に入る前にその状態を確認します。
- ドラフトが Harvey を出る → 人間による検証工程。 指名された担当者が引用と引用文をすべて出典と突き合わせ、その後、署名する弁護士が当該判事の standing order が求める証明書を提出します。この受け渡しには自動化もベンダーも存在しません。
- 強制イベント → 2 つのログ、1 つの記録。 Intapp Walls for AI は壁の設定とそのポリシー出所を記録し、Harvey は同期サイクル、アクセス試行、強制動作をすべて記録します。壁が争われたとき、証拠になるのはこの組み合わせです。片方に設定、もう片方に挙動があります。
誰も図示しないアップロードの断絶
Harvey も Legora も iManage との直接連携を持ち、どちらも アップロード時点では iManage の権限と情報遮断壁を尊重します。ところが、その次の一文まで踏み込む人はほとんどいません。コンテンツがいったん Harvey や Legora の中に入ると、それは各プラットフォーム自身のガバナンス下に置かれ、保持と削除はそこで設定した者の手に委ねられます。
正直な図はこうです。DMS の壁は継続的に強制されていたわけではなく、入口で 1 度だけ強制されていた。Intapp Walls for AI は、壁を Harvey の内側で生かすことで、この断絶のうちアクセス側の半分を閉じます。保持側の半分は閉じません。依頼者の outside counsel guidelines が、データを生成 AI ツールに入れる前の同意と、そのデータを恒久的に削除できることを求めているなら、「この依頼者のどのコンテンツが今 Harvey Vault にあるのか」への答えは依然として必要であり、情報遮断壁の製品はそれを出しません。
ガード: コネクタを有効化するその日に、AI プラットフォーム側の保持ルールを書いてください。そして「どの依頼者データが AI ツールにあるのか」は、事務所が 1 営業日以内に答えられなければならない問いとして扱ってください。どちらもポリシー文書に属します。どちらもベンダーには属さないからです。
証明書に署名するのは人間です
Starr 判事の命令は弁護士に 2 つの選択肢を与えました。書面のいかなる部分も生成 AI が起案していないと証明するか、AI が起案した文言はすべて人間が正確性を確認したと証明するかです。オクラホマからペンシルベニアまでの裁判所が、これを手本に要件を組み立てました。統一された連邦基準は今もありません。命令は判事ごとに出され、利用の開示を求めるのか、ツールの特定を求めるのか、引用ごとに人間が検証したことの証明を求めるのかが分かれます。
制裁はもはや理論上のものではなく、金額も小さくありません。
- オレゴン地区。 Mark D. Clarke 治安判事の 2025 年 12 月 12 日の決定は、存在しない判例への 15 件の言及と 8 件の捏造された引用に対し、11 万ドルを科しました。内訳は、一方の弁護士に弁護士費用 8 万ドルと約 1.5 万ドルの制裁金、もう一方に追加費用 1.4 万ドルです。判事はこの件を、程度・量ともに際立った異常値だと述べました。
- 第 6 巡回区。 2 ダースを超える架空の引用について弁護士 2 名に 3 万ドル、あわせて訴え自体が却下されました。
- オハイオ州南部地区。 弁護士 2 名に 7,500 ドル、法廷侮辱の認定と懲戒手続への付託を伴いました。
- 第 5 巡回区。 vLex と Thomson Reuters CoCounsel を使った弁護士に 2,500 ドル。
最後の 1 件は 2 度読んでください。この弁護士は消費者向けチャットボットから貼り付けていたのではありません。有料で、根拠づけがあり、法律特化型の調査 AI を使っていて、それでも引用は制裁対象でした。2026 年 5 月時点で、AI が生成したハルシネーションに言及した裁判所の判断を追跡する Damien Charlotin のデータベースは、世界で 1,300 件を超えていました。
ガード: 検証工程を、課金可能で人員が割り当てられた時間として予算化してください。引用チェックを最後に誰かがやる残務として扱うスタックは、いずれ第 5 巡回区と同じ結末を生みます。根拠づけが発生率を下げてもゼロにはしない理由は legal AI のグラウンディングとハルシネーション を参照してください。
コストの実際
Intapp。 公開価格表はなく、Walls は見積もりです。買い手が見落とす費目はここです。Harvey 連携には Intapp Walls for AI のクラウドライセンスに 加えて、別途 Harvey コネクタライセンス が必要です。SKU は 1 つではなく 2 つで、最初の見積もりだけで組んだ予算からは 2 つ目が抜け落ちがちです。
Harvey。 公開価格はありません。第三者の報道 — ベンダー公表値ではなく、数字というより交渉レンジとして扱うべきものです — は、中堅事務所で 1 席あたり月 1,000〜2,000 ドル、25〜50 席の最低契約、年間契約は 5 万〜30 万ドルの範囲が多いとしています。
LexisNexis。 権原ベースです。Ask LexisNexis は Lexis の購読の上に乗ります。Harvey 経由分の追加価格は、どちらの当事者も公表していません。
ポリシー。 ライセンス費用はゼロで、このスタックで最大の社内工数です。起案、パートナー承認、誓約の管理、そしてどのソフトウェアも吸収しない反復的な検証時間が含まれます。
報道された中堅レンジで Harvey を 50 席とすると、アシスタントだけで年間およそ 60 万〜120 万ドルになります。ガバナンス側のライセンスはそのごく一部にすぎず、そして残りが壁への異議申立てや制裁申立てを生き延びるかを決めるのは、そのごく一部のほうです。このスタックが高くつくのは、ガバナンスの側ではありません。
よくあるバリエーション
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Harvey を Legora に差し替える。 Word ネイティブの起案が本当の要件であるとき、あるいは Harvey の価格下限が通らないときに選びます。Legora は 250 ドルの入口価格を公表しており、文書の中で起案する強みで 2026 年に 56 億ドルの評価額に達しました。手放すのはこのスタックの背骨です。Intapp が公表している Walls for AI の連携先は Copilot、Harvey、Celeste であり、Legora 自身のセキュリティページはゼロトラストのアクセス制御、SSO、ISO 42001、ISO 27001、SOC 2 Type 2、EU または US のデータ所在、データガバナンスの可視化を挙げる一方で、情報遮断壁にも Intapp 連携にも一切触れていません。起案の実力で Legora を選び、壁が DMS のアップロード時強制とワークスペース運用規律に戻ることを受け入れてください。
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法律特化アシスタントではなく Copilot を統制する。 事務所の AI 利用が法律の成果物ではなく Microsoft 365 上の一般的なナレッジワークであるときに選びます。Walls for AI はすでに Copilot をカバーし、Microsoft Graph 経由でどのソースに到達するかを制御します。手放すのは根拠づけられた調査経路と Shepard’s による検証であり、引用層は丸ごと消えます。
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DMS 側にポリシー層を足す。 iManage Security Policy Manager または NetDocuments の情報遮断壁を、AI に対してだけでなく DMS を閲覧する人間に対しても壁を効かせる必要があるときに足します。事務所の遮断義務が AI 導入より古いときに選びます。大半の事務所がこれに当たります。
このスタックが置き換え「ない」もの
- 利益相反チェック。 壁は遮断の判断を強制しますが、判断そのものは下しません。壁を生む分析については 利益相反チェック を参照してください。
- 検証工程。 このスタックのどの構成要素も、証明書に署名しませんし、判例を読みません。それをやるのは弁護士です。
- 自社の AI 利用ポリシー。 ABA 512 は義務を写像しますが、あなたの文書を書いてはくれません。法務チームの AI ポリシー を参照してください。
- 依頼者の同意と outside counsel guidelines。 データを生成 AI ツールに入れる前の同意と、要求に応じた削除を求める依頼者が増えています。これは契約上の義務であり、AI プラットフォームの外で管理されます。
- AI プラットフォーム内部の保持。 アクセス制御と保持は別の問題であり、このスタックが解くのは片方です。
- EU 側の義務。 EU で業務を行う事務所は別のコンプライアンス面を負います。法務チームのための EU AI Act を参照してください。
適合ルール
このスタックを使うべきとき:
- Intapp Walls がすでに導入済みであること。Harvey 連携は既存のコントロールプレーンの上に乗るコネクタの判断であって、コントロールプレーンを買う理由ではありません。
- 事務所が連邦裁判所で係争すること。証明義務こそが、ガバナンスを良い慣行からエクスポージャー管理へ変えるものです。
- 壁の失敗が依頼者との関係を左右する案件を扱っていること。競合する入札者、同業の相手方当事者、遮断下の中途採用者などです。
- コネクタ設定の担当者が決まっていること。同期が止まると、片方のシステムにだけ存在する壁ができ、どちらのコンソールもそのずれを知らせてくれません。
このスタックを使うべきでないとき:
- Walls が未導入で、この用途のためだけに買うことになる場合。情報遮断壁の製品は、事務所全体の利益相反と遮断の義務のために買い、そのうえで接続してください。順序が逆だと、1 ベンダーの権限問題を解くために enterprise 水準のガバナンス価格を払うことになります。
- 全員が全案件を把握していることで遮断が成り立つ規模の事務所である場合。その閾値を下回ると、監査証跡は守る価値より高くつきます。
- AI の用途が取引業務のみで、裁判所に提出されない場合。起案とデューデリジェンスにも守秘義務はありますが、証明層が答えているのは訴訟の問題です。
- 検証工程を誰も担当しない場合。指名された担当者と割り当てられた時間がなければ、Shepard’s 層は事務所が金を払って使わなかった機能です。