概要
Activepieces は、MIT ライセンスで自社インフラ上に配置できるワークフロー自動化プラットフォームです。コアは github.com/activepieces/activepieces で本当に MIT です。一方、エンタープライズ機能は packages/ee と packages/server/api/src/app/ee に置かれ、別の商用ライセンスの下にあります。セルフホスト環境でそれらを動かすには有償キーが必要です。この分割は見た目以上に重く、後述の代替候補の節で効いてきます。
多くのチームがたどり着く理由はカタログです。Activepieces は 760 を超えるインテグレーション(同社は pieces と呼びます)を備え、Slack、Gmail、Salesforce、HubSpot、Notion と主要なモデルプロバイダーをカバーします。各 piece は自動的に MCP サーバーとして公開されるため、ワークフロー内で使うのと同じコネクタを、サーバーを書かずに Claude Code、Cursor、Windsurf、Zed から呼び出せます。Activepieces は MCP クライアントでもあり、ワークフローから外部の MCP サーバーを呼び出せます。双方向を 1 つのデプロイでまかなえます。
インストールは PostgreSQL と Redis を伴う Docker Compose 上で curl -fsSL https://get.activepieces.com | sh です。すでに Kubernetes を運用しているチーム向けには Helm チャートがあります。
解決する分岐点
このページが答える問いは、Zapier のタスク課金が割に合わなくなった後、あるいは n8n のライセンスを正確に読んだ後に何を動かすか、です。
Zapier はタスク単位で課金し、1 タスクは 1 ステップです。20 ステップの Zap が月 500 回発火すると 10,000 タスクを消費し、Salesforce や HubSpot のようなプレミアムアプリは消費を 2 倍にします。Activepieces はステップ数にかかわらず 1 実行あたり 1 クレジットです。2 ステップのワークフローと 20 ステップのワークフローが同じ値段になります。この設計判断ひとつが、処理量ではなくワークフローの作り込みによって Zapier の請求額が伸びた人にとっての論拠のすべてです。
n8n との分岐点は性質が違い、理解されていません。n8n はオープンソースではなく、そう主張してもいません。Sustainable Use License というソース公開型の fair-code ライセンスで提供され、用途を社内業務、個人利用、非商用に限定します。自分が運用する n8n インスタンスへのアクセスを有償で提供することはできず、自社ブランドを付けた版を販売することもできません。販売する製品の中に自動化を組み込む計画なら、n8n のライセンスは壁であり、Activepieces の MIT コアはその回避路です。Activepieces は埋め込みを主要なエンタープライズ機能として販売しています。自社アプリの中に、自社ブランドでビルダーを載せられます。
Activepieces は Pipedream からの移行先としてのオープンソースの受け皿でもあります。Workday は 2025 年 11 月 19 日に Pipedream の買収契約に署名し、2026 年 1 月 31 日までのクロージングを見込んで、Sana や Flowise と並ぶ自社エージェント基盤に組み込みました。自動化レイヤーが HR スイートのロードマップ上の 1 行になったのであれば、MIT とセルフホストの組み合わせが構造的な回答です。
価格の実際
Free は $0 で 1 日あたり 100 クレジット、ユーザー 1 名、セルフホストも同じ価格です。Plus は年払いで月 $16、月あたり 10,000 クレジット、ユーザー 5 名までです。Team は年払いで月 $166、50,000 クレジット、ユーザー 25 名で、SSO と標準ロールが有効になるのはこの段階です。Ultimate は個別見積もりで、SCIM、カスタムロール、監査ログ、シークレットマネージャー、イベントストリーミング、専用ワーカーを含みます。Plus と Team の超過料金は 1 クレジットあたり $0.007 です。
請求額を試算する前にクレジット表を読んでください。配管部分はほぼ無料で、コストのすべては AI だからです。1 クレジットで 1 実行全体をまかない、ステップ数は問いません。その上に、エージェント的アクションが 1 クレジット、高速モデルのステップが 2、スマートモデルが 10、フロンティアモデルが 20 かかります。Plus 以上で自前の AI プロバイダーキーを接続すると、すべての AI ステップが 1 クレジットに下がり、モデル代はプロバイダーへ直接支払う形になります。
計算してみます。Plus の 10,000 クレジットは、AI なしなら月 10,000 実行で 1 実行 $0.0016 です。同じワークフローにフロンティアモデルのステップを 1 つ入れると、同じ枠で 500 実行になります。自前のキーを使えば 5,000 実行です。同一ワークフローの最悪構成と最良構成の差は 10 倍で、それはチェックボックス 1 つです。
セルフホストは MIT コアなら $0 です。文書化された Docker Compose の要件(小さな VM、マネージド PostgreSQL、Redis)からの当社の見積もりでは、一般的なクラウドで月 $40-80、人件費は別です。
最適な相手
Zapier のタスク課金を卒業し、自動化レイヤーを自社の境界内に置きたい、20〜100 名規模の企業の ops エンジニアまたはプラットフォームエンジニアです。Activepieces が明確に勝つ限定条件はこうです。エンリッチメントとルーティングのワークフローが各 15〜25 ステップ、月数千実行、自前の Anthropic または OpenAI のキーを使い、顧客データがベンダーのキューを通ることを法務が承認しないため全体をセルフホストする、という構成です。
販売する製品に自動化を組み込む場合も正解です。MIT と文書化された埋め込み経路の組み合わせは、n8n のライセンスでは得られません。
向かない相手
Docker を担当できる人がいない 5 名のチームです。Cloud Free は 1 シートなので、2 人目がワークフローを編集する必要が出た時点で Plus かセルフホストになります。そしてセルフホストとは、誰かが PostgreSQL のバックアップとアップグレードを所有するという意味です。
購買委員会がベンダー規模を重視する場合も不適合です。Activepieces は Y Combinator 出資、2022 年設立で、従業員数は集計サービスによって 11〜23 名と幅があります。n8n は 2025 年 10 月に $2.5B の評価額でシリーズ C の $180M を調達しました。契約期間を生き延びることを財務的な裏付けで示せるベンダーを購買部門が求めるなら、これは通しにくい提案です。防御策は下の watch-out の 1 点目にあります。
代替候補との比較
- Zapier — このカテゴリーで最大の導入基盤を持ち、自動化を最短で動かせます。月 $19.99 から。ワークフローが短く、処理量が少なく、チームの誰もインフラを考えたくない場合はこれです。タスク課金は人が離れる理由であって、集まる理由ではありません。
- Make — もう一方のシェア上位で月 $9 から。分岐と反復の扱いは Zapier のビルダーより上です。作業が分岐の多いデータ変換で、クラウド専用で構わない場合に選んでください。セルフホストの経路はありません。
- n8n — このセグメントで最も成長が速い参入者です。2025 年 10 月に $2.5B の評価額でシリーズ C の $180M、ARR は $40M 超、エンタープライズ顧客 1,400 社以上。AI エージェントノードの深さとテンプレートライブラリの規模を求め、かつ用途が社内向けで Sustainable Use License が実質無コストなら、これを選んでください。コミュニティも採用市場も Activepieces より大きいです。
どれも合わないなら、実際に触れる 4 つの API に対して連携をコードで書き、すでに運用しているスケジューラーで動かしてください。ワークフローが 10 本程度までなら、プラットフォームは過剰です。
注意点
- 会社は小さく、ライセンスが保険証券です。 集計サービスの従業員数推計は 11〜23 名で、資金調達済みの n8n の規模とは差があります。売上推計も数百万ドル台です。防御策:クラウドで始めるのではなく初日からセルフホストし、PostgreSQL データベースの
pg_dumpをインスタンス外へ定期取得し、イメージダイジェストを固定してください。MIT コアであれば買収されてもソフトウェアを取り上げられることはありません。ただしそれは、稼働中のコピーと、実際に試したリストア手順をすでに持っている場合に限ります。 - エンタープライズ機能はセルフホストでも商用ライセンスです。 SSO は Team、SCIM と監査ログとカスタムロールは Ultimate で、
packages/eeのコードは MIT ではありません。防御策:SSO、SCIM、監査ログのうちどれをセキュリティレビューが必須とするかをパイロット前に確認し、その時点で Ultimate の見積もりを取ってください。ワークフローを本番投入した後に要件が判明すると、弱い立場で交渉することになります。 - AI クレジットの倍率は、チェックボックス 1 つで 10 倍動きます。 フロンティアモデルのステップは 20 クレジット、同じステップを自前のキーで動かせば 1 クレジットです。防御策:最初の AI ワークフローを作る前に Anthropic または OpenAI のキーを接続し、月間枠の 70% でクレジットアラートを設定してください。1 クレジット $0.007 の超過が、請求書ではなく警告として届きます。
- 760 を超える pieces はコミュニティカタログであり、深さにはばらつきがあります。 この数にはコミュニティ提供の pieces が含まれ、ある piece は作者が必要とした 3 つのエンドポイントだけを覆っていて、あなたが必要とする API 範囲を覆っていないことがあります。防御策:ワークフローを本番に入れる前にリポジトリで該当の piece を開き、依存する具体的なアクションとトリガーが存在するか確認してください。pieces はソースツリー内にあるため、これはサポートチケットではなく 5 分の確認作業です。