概要
EvenUp は、原告側の人身傷害分野における AI のカテゴリーリーダーです。医療記録と事案の事実の束を、賠償請求(demand)パッケージへと変換するプラットフォームです。2019 年にサンフランシスコで Rami Karabibar(CEO、元 Waymo)、Raymond Mieszaniec(COO)、そしてプロダクトとリーガルオペレーションを統括する現役弁護士の Saam Mashhad によって創業されました。累計 $385M を調達しており、その頂点が 2025 年 10 月に Bessemer Venture Partners が主導した $150M のシリーズ E で、評価額は $2B 超と前年の 2 倍に達しました。EvenUp によれば、各事務所はプラットフォーム上で週あたり約 10,000 件の事案を処理し、これまでに 200,000 件を超える事案の解決を支援し、米国の人身傷害事務所トップ 100 の 20% を含む 2,000 を超える事務所が利用しているとされています。
エンジンは Claims Intelligence Platform で、EvenUp 独自の Piai モデルの上に構築され、数十万件の傷害事案と数百万件の医療記録で学習されています。このデータセットこそが堀です。打ち出しは「賠償請求を起草する LLM」ではなく、類似事案がいくらで和解したかを知っているモデルだという点にあります。
原告側事務所の使い方
EvenUp は賠償請求パッケージを軸に据え、そこから外側へ広げていきます。
- 賠償請求書(Demands)。 看板機能です。人的影響を語るナラティブ、証拠として整理された医療記録、賠償額を裏づける類似の評決・和解額を備えた、法廷提出に耐える賠償請求書を作成します。これが支出を正当化するワークフローです。
- AI Drafts Suite。 賠償請求を超えて、訴状、医療記録の要約、交渉シート、質問書への回答を数分で起草します。パラリーガルが 1 件あたり何時間もかける作業を置き換えます。
- 医療経過(クロノロジー)と請求書の要約。 記録を経過表と請求書サマリーに凝縮します。これがなければパラリーガルの午後を 1 件で食いつぶす工程です。
- Smart Workflows。 事案のライフサイクルに沿ったプロンプトです。適切なタイミングで賠償請求を送り、治療の空白をフォローし、和解額を損なう前に不足書類を指摘します。
特徴的なのは、EvenUp が AI の出力に自社のリーガルエキスパートによる人手レビューを組み合わせてから、ドラフトを事務所へ返す点です。これは品質を高めますが、同時にコスト構造が純粋なソフトウェアというよりサービスに近く見える理由でもあります。
価格
EvenUp は固定価格を公開していません。2025 年 5 月、席数ベースの契約に加えて、プラットフォーム全体に対する 1 件あたりの単一料金という事案単位の価格を追加しました。契約はデモ前提で、事務所の規模、事案量、オンボーディングに応じて見積もられます。このクラスの公開市場ベンチマークはユーザーあたり月額 $200–500 前後で、事案単位の報告では賠償請求 1 件が $300 近く、アドオンを含めると $500–800 超まで上がるとされています。これらは見積もりとして扱ってください。実際の数字は商談を経て出てきます。事案量の多い事務所にとって計算はスループット主導です。問われるのは表面的な料金ではなく、1 件あたり削減される作業時間と、それによって得られる和解額です。
最適な用途
- 賠償請求パッケージの組み立てと医療記録のレビューがボトルネックになっている、事案量の多い原告側の人身傷害事務所。
- 人手レビューを組み込んだうえで、賠償額の根拠として最大級の人身傷害特化データセットを求める事務所。
- 少数の優秀な書き手に依存するのではなく、アソシエイト間で賠償請求の品質を標準化したい事務所。
代替ツール
- Eve — 賠償請求パッケージだけでなく、インテークから訴訟までのライフサイクル全体(音声インテーク、双方向のディスカバリー、価値ドライバーを洗い出す夜間監査)が欲しいときに選びます。Eve の項目を参照してください。
- Supio — 膨大な医療記録セットが制約で、経過抽出の深さがすべてを左右するときに選びます。
- Precedent — 最も急成長している新規参入で、低コストと賠償請求の速い処理を打ち出しています。EvenUp の価格やサービス層のオーバーヘッドが障壁になるときに選びます。
- ProPlaintiff — 低価格の選択肢で、ユーザーあたり月額 $99–249 程度。エンタープライズの確約なしに賠償請求と経過表が欲しい小規模事務所向けです。
注意点
- 出力はドラフトであり、署名済みの成果物ではありません。 賠償請求における記録の誤引用や水増しされた類似事例は、ベンダーではなく事務所の責任です。ガード: すべての賠償請求で弁護士レビューを必須とし、数字が損害調査担当者へ渡る前に、類似の評決を出典と照合してください。
- コストは不透明で、膨らみ得ます。 賠償請求 1 件あたり約 $300 の基本料金が、アドオンと人手レビュー層を含めると $500–800 超に着地し得ますし、席数価格は公開されていません。ガード: 事案単位の価格、レビュー層に含まれる範囲、アドオンの一覧を書面で取得し、自事務所の事案量について Eve と Supio の見積もりと比較してください。
- ベンダーのモデルに PHI を流し込んでいます。 コーパスは保護対象の医療情報であり、モデルは集約された事案データで改善されます。ガード: 署名前に HIPAA の条件、あなたのデータが共有モデルの学習に使われるか、データのエクスポート権を確認してください。カテゴリーと価格が動く速さを踏まえ、最初の契約期間は短く保ちましょう。