概要
Langdock は、ベルリンで開発されたエンタープライズ向け AI ワークスペースです。ChatGPT 風のチャット、ノーコードのエージェント、ワークフロービルダー、API を備え、そのすべてを自社で選んだモデルの上で動かします。OpenAI、Anthropic、Google、Mistral の現行モデルに加えて約 40 のモデルがあり、チャットごと、エージェントごとに切り替えられます。狙いは「法務が ChatGPT Enterprise に署名しない企業のための ChatGPT Enterprise 型の全社展開」です。マルチテナントのクラウドは EU 内の Microsoft Azure で稼働し、ISO 27001 と SOC 2 Type II を取得済みです。大口顧客はシングルテナント、自社クラウド、Kubernetes によるオンプレミスの各デプロイを選べます。2026 年 9 月、Langdock はデラウェアの親会社を解散し、ドイツの Societas Europaea として再登記しました。米国 Cloud Act の適用リスクに関する顧客の懸念に応えることが明示的な理由です。その時点で、経常収益の run rate は 5,000 万ユーロ超、顧客組織は約 13,000、従業員は約 65 名と報告されています(Startup Fortune)。公表されている外部資金調達は、General Catalyst と La Famiglia が主導した 2024 年の 300 万ドルのシードラウンドのみです。
RevOps、Legal Ops、Recruiting のスタックに登場する理由
- 全社で 1 つの統制された AI シート。 購買主体は特定のチームではなく、たいてい IT か法務です。Langdock は、営業・法務・採用チームが経費で落としていたシャドー IT 的な ChatGPT や Claude のアカウントを置き換えます。管理者は利用可能なモデルを決め、ユーザー単位・エージェント単位の利用上限を設定し、利用状況をユーザー・エージェント・モデル別にエクスポートできます。
- エージェントがオペレーションチームの既存システムに届く。 インテグレーションのディレクトリには約 130 のネイティブコネクタがあり、Salesforce、HubSpot、Pipedrive、Jira、Confluence、SharePoint、Google Drive、Ashby、ServiceNow などに加え、任意のリモート MCP サーバーにも接続できます。AE 向けのアカウント概要エージェント、Legal Ops 向けの条項検索エージェント、リクルーター向けのスコアカード要約エージェントを 1 つのワークスペースで運用し、Slack、Teams、Outlook から呼び出せます。
- MCP に双方向で対応。 Langdock は外部の MCP サーバーに接続でき、さらに
api.langdock.com/mcpの自社 MCP サーバーがワークスペースのエージェントをツールとして公開します。そのため Claude や Cursor のユーザーは、自分のクライアントを離れずに統制下の Langdock エージェントを呼び出せます。
実際の価格
Business プランは月払いで 1 ユーザーあたり月 25 ユーロ、年払いで 20 ユーロです。最大 1,000 ユーザーまで対応し、SSO、SCIM、モデル利用料が含まれます。利用上限が 5 倍の Business Max は月払い 99 ユーロ、年払い 79.20 ユーロで、ユーザー単位で割り当てられます。51 シート目以降は段階的なボリュームディスカウントがありますが、Langdock は料率を公開していません。Enterprise(1,000 ユーザー超)は個別見積もりです。
シート価格の外側に 3 つの従量要素があります。
- 含まれる利用量には上限があります。 各ユーザーには 5 時間のセッション上限と週次上限があります。いずれかを使い切ると、管理者が Extra Usage(API 料金で課金)を有効にしていない限り、メッセージはより安価なデフォルトモデルに切り替わります。有効化すると、ワークスペース全体で月 1,000 ユーロの上限がデフォルトで適用されます。
- ワークフローの AI トークンは別料金です。 「AI モデル込み」のプランでも同様です。無料の Starter 枠は月 2,500 回の実行まで。Business のワークフロー枠は 40,000 回で月 539 ユーロ、100,000 回で月 1,199 ユーロです。
- Governance(エージェントのレビュー、EU AI Act と GDPR のコンプライアンステンプレート)は 2027 年 1 月 1 日まで無料で、その後は年払いで 1 ユーザーあたり月 2.80 ユーロです。
年払いで 150 シート、うち 10 名のパワーユーザーを Business Max にし、ワークフローを使わない場合、ボリュームディスカウント前で年間約 43,000 ユーロを見込んでください(試算:140 × 240 ユーロ + 10 × 950 ユーロ)。ワークフローが Starter 枠を超えたら、年 6,500 ユーロを追加します。
最適なケース
EU に本社を置く、または EU の規制下にある従業員 50~1,000 名の企業で、エージェント付きの全社向け・モデル非依存のアシスタントを必要とし、データアクセスを理由に調達部門が米国資本のベンダーを却下した IT、Legal Ops、RevOps のリーダー。
Microsoft の EU Data Boundary に満足している Microsoft 365 E5 企業なら購入は不要です。Copilot がすでにテナント内にあります。また、実際の課題が数十の権限付きソースを横断するエンタープライズ検索なら、購入すべきではありません。それは Glean の領域です。
代替ツールとの比較
ChatGPT Enterprise は導入ベースでカテゴリーのリーダーです。米国資本のベンダーを許容でき、OpenAI の新機能をいち早く使いたいなら ChatGPT Enterprise を選んでください。法務が EU 所在の契約主体を求める場合や、GPT に加えて Claude と Gemini を 1 つの請求書で使いたい場合は Langdock を選んでください。
Microsoft 365 Copilot(1 ユーザーあたり月 30 ドル)はもう一方のシェアリーダーです。業務が Outlook、Teams、SharePoint で完結するなら Copilot を。Office との統合よりもモデルの選択肢や CRM・ATS 上のエージェントが重要なら Langdock を選んでください。
Dust は最も急成長している欧州の競合で、2026 年 5 月に 4,000 万ドルのシリーズ B を調達しました。SaaS スタック全体でアクションを実行するエージェントが主目的なら Dust を。エージェントを補助的に使う全社向けチャットシートが主目的なら Langdock を選んでください。価格は Langdock の 20 ユーロに対し、Dust の Pro シートは 29 ユーロです。
Mistral Le Chat Enterprise は、モデル開発元を含むすべてのレイヤーを欧州で揃える必要がある場合の選択肢です。Langdock はトラフィックの大半を米国のモデル開発元に送ります。
データを社内ネットワークから一切出せないためにどれも合わない場合は、セルフホスト型の Onyx か、5,000 シートから利用できる Langdock 自身のオンプレミス版を検討してください。
注意点
- SE への移行で解決するのは法人レイヤーであり、インフラレイヤーではありません。 マルチテナント版の Langdock は Microsoft Azure 上で動き、モデルの多くは米国のプロバイダーから提供されます。これらは引き続き Cloud Act の対象です。対策: 法務にサブプロセッサー一覧を確認してもらい、そのリスクが許容できない場合は、契約前に Mistral などの EU プロバイダーへ自社キー(BYOK)でルーティングする構成か、専用デプロイの見積もりを取ってください。
- 含まれる利用量は気づかないうちに尽きます。 ヘビーユーザーは週の途中でフォールバックモデルに切り替わり、「Langdock の質が落ちた」と報告します。対策: 最初の 30 日間は利用エクスポートを監視し、利用量上位 5~10% のユーザーを Business Max に移し、ワークスペース単位の上限 1 つではなく、ユーザー単位の Extra Usage 上限を設定してください。
- ワークフローのトークン費用は請求書の別項目で届きます。 パイプライン全体に対してスケジュール実行されるエージェントノード付きワークフローは、シート代を上回る費用になり得ます。対策: スケジュール実行のワークフローを公開する前に、ワークスペース単位とワークフロー単位の支出上限を設定し、ワークフローのトークンは独立した予算項目として計上してください。
- BYOK は初期設定時の判断です。 トライアルから有料プランへ移行する際に選択し、後から切り替えるには Langdock のサポートが必要です。また BYOK のワークスペースでは、補完・埋め込み・画像生成のモデルを自前で設定する必要があります。対策: モデルの所有形態はロールアウト後ではなく、トライアル中に決めてください。