何なのか
Solve Intelligence は、特許業務向けのブラウザベース AI プラットフォームです。明細書のドラフティング、オフィスアクション対応、そして 2025 年 12 月からは訴訟・ライセンス向けのクレームチャート作成までを扱います。Sanj Ahilan、Angus Parsonson、Chris Parsonson の 3 名が 2023 年 6 月にロンドンで創業し、Y Combinator の S23 バッチを経ています。エディタそのものが製品です。横にチャットパネルを備えた共有ドキュメントのように動作し、図面、化学構造、生物配列、先行詞的根拠のレビューといった特許固有の機能が、添付ファイルのやり取りではなく同じページ上に載っています。
これは Patlytics の鏡像です。Patlytics はクレームチャートという成果物がある訴訟側から始まり、ドラフティングへとさかのぼってきました。Solve はクレームを書く弁理士から始まり、チャートへと下ってきました。現在はどちらも全ライフサイクル対応を名乗ります。しかし どちらも出発点の側に重心が残っており、その重心こそが実際の購買判断です。
資金調達は、2025 年 4 月の 1,200 万ドル(Microsoft の M12 と Thomson Reuters Ventures が出資)から、2025 年 12 月 9 日の 4,000 万ドルのシリーズ B へと続きます。シリーズ B は Visionaries Club と 20VC の共同リードで、Thomson Reuters と Y Combinator が出資比率を引き上げ、Operator Collective が新規参加しました。累計 5,500 万ドルです。2026 年 3 月 31 日には、ミュンヘンの特許訴訟 AI スタートアップ Palito.ai を買収し、Palito チームの一部とともに同地にオフィスを開設しました。この買収により、ドイツ・EPO・UPC の有効性ワークフロー、米国訴訟向けの 35 U.S.C. 103 に基づく進歩性チャート作成、文単位の引用が加わりました。
Legal Ops のスタックに載る理由
- 実際のボリュームはドラフティング側にあります。 ベンダーは、プラットフォーム上で作成された特許出願を 433K 件以上、作成されたクレームチャートを 1,100 件以上と数えています。どちらもベンダー公表値ですが、この比率が製品の正直な読み方です。ドラフティングは成熟して荷重を支えており、Charts は登場から 9 か月でまだ実証段階にあります。ボトルネックが弁理士 1 人あたり四半期あたりの出願件数であれば、Solve が押さえているのはこちら側の市場です。
- Review はオフィスアクションを招く欠陥を拾います。 Review の実行により、用語の不統一や先行詞的根拠の問題がインラインで指摘され、ワンクリックで修正できます。若手が半日を溶かし、それでも審査官に見つかる類のミスです。
- リージョン別処理は、欧州の知財部門がそのまま使える回答になります。 SOC 2 Type II と ISO 27001 の認証、GDPR と CCPA 対応、AWS 上で保存時 AES-256・転送時 TLS 1.3、顧客ごとに米国または EU の処理を選択可能、サードパーティのモデル提供者とはゼロデータリテンション契約、顧客データによる学習なし。ミュンヘンのオフィスと UPC ワークフローと合わせると、Solve は欧州の調達レビューで落ちるのではなく通過できる新規参入者になりました。
- 規模のシグナル。 6 大陸にわたる 700 以上の知財チーム、うち 60% 超が米国拠点で、顧客として Intel、DLA Piper、Finnegan、Perkins Coie、Siemens、Amgen が挙げられています。いずれもベンダー公表値であり、監査を受けたものではありません。
価格の実態
公表価格もプラン一覧も無料トライアルもありません。solveintelligence.com/pricing は存在せず、すべての契約が /book-demo を通ります。
出回っている唯一のシート単価は、1 ユーザーあたり月額およそ 775 ドル、年額でおよそ 9,300 ドルです。ただしこれは見積もりではなく推定値です。第三者の分析が、年間サブスクリプションを 15% 割引する NAPP 会員特典(割引額をおよそ 1,400 ドルと評価)から逆算したものです。データ点は 1 つ、しかも逆算です。推定として扱い、これを根拠に予算を組まないでください。
セグメントのアンカーはもう少し確かです。Spellbook の 2026 年リーガル AI 価格調査では、法律事務所向けのエンタープライズツールは Harvey の水準で 1 ユーザーあたり月額およそ 1,000〜2,000 ドル超、Legora で 300〜800 ドル、CoCounsel や Lexis+ Protégé のようなリサーチ AI で 225〜650 ドルとされています。推定された Solve の数字はリサーチ層と Harvey 層の中間に位置し、特許弁理士に売る専門プラットフォームとして妥当な場所です。
見積もりを動かすのは、シート数と同じくらいドラフティングの量です。弁理士 4 人が各自四半期 15 件出願するのと、各自 3 件出願するのとでは、契約が変わります。発注書には 4 点を入れてください。月あたりの出願件数枠、その枠を超えた場合の超過料金、Charts が同梱か別 SKU か(独立した製品として提供が始まっています)、そして EU リージョン処理に追加費用がかかるかどうかです。
最適な利用者
出願件数が業務の中心になっている企業内知財担当者および事務所の特許実務家です。機械、電気、ライフサイエンス、ソフトウェアの技術分野で四半期あたり数十件を起案・権利化しており、単機能ツールより全ライフサイクルを 1 つのプラットフォームで通す価値が上回るチーム、とりわけ EPO と UPC の案件が案件全体の実質的な割合を占めるチームです。
向いていないのは、弁理士が Microsoft Word から離れない場合です。Solve は Word アドインを持たないブラウザエディタであり、これはワークフロー上勝てない戦いです。チャート作成の量が実務の中心を占める場合も向きません。Charts は最も新しく実績が最も薄い領域であり、Patlytics は 2024 年からその成果物を作り込んできました。期限管理、年金納付、知財費用管理が必要な場合も向きません。Anaqua は請求書に残ります。そして Claude Code や他の MCP クライアントから特許業務を動かしたい場合も向きません。Solve は MCP サーバーも公開 API も提供しておらず、作業はブラウザ内で行うか、行わないかのどちらかです。
代替候補と、そちらを選ぶ基準
- Patlytics — 全ライフサイクルで最も近い競合です。2026 年 4 月に SignalFire がリードした 4,000 万ドルのシリーズ B、累計およそ 6,500 万ドル、加えて読み取り専用の MCP サーバーを備えます。使用証拠のチャート作成が恒常的なコストセンターである場合、または Claude Code の中で先行技術調査をしたい場合に選んでください。
- DeepIP — 権利化側で最も成長が速い新規参入者です。2025 年 3 月に 1,500 万ドルのシリーズ A、2026 年 3 月にさらに 2,500 万ドル、400 以上の法律事務所と企業知財チームが利用しています。Word の中でドラフティングし、IPMS や期限管理ツールと連携します。Word 要件が譲れない場合、または期限管理との連携が必須要件である場合に選んでください。
- PatSnap、Clarivate Derwent、Questel — 特許データと分析の既存レイヤーであり、市場シェアの観点で最初から候補に挙がる 2〜3 社です。案件がランドスケープ分析、調査カバレッジ、説明可能なデータライセンスであって、起案の成果物ではない場合に選んでください。
- Harvey または Legora — 事務所がすでに契約している可能性が高い汎用リーガル AI です。特許が混在案件の一部にすぎず、個別ワークフローへの最適な適合よりベンダー統合が優先される場合に選んでください。
注意点
- Charts はこのページで最も新しく、その裏付けとなる数字は小さいままです。 433K 件以上の出願に対して 1,100 件以上のチャートという比率は、まだ足場を固めている製品を表しており、Palito の機能が入ったのは 5 か月前です。ガード: Solve はドラフティングと権利化の理由で買ってください。Charts は、すでに手作業でチャート化した案件に対する範囲を限定した PoC として走らせ、構成要件ごとに差分を取り、それを済ませてから契約上の権利にしてください。
- ISO 42001 の記載がベンダー自身のサイト内で 2 通りあります。 トップページは認証と並べて掲載し、セキュリティページは取得手続き中と記載しています。ガード: AI ガバナンスの質問票がこれを引用する前に、認証書と監査法人名を書面で求めてください。今日依拠できるのは SOC 2 Type II と ISO 27001 の 2 つです。
- 出力品質はプロンプト品質に連動し、その連動は分野によって偏ります。 独立系のレビューでは、機械、医療機器、化学比重の高い出願は、ソフトウェアや電気に比べて多くのプロンプト設計を要すると報告されています。ガード: PoC は得意な技術分野ではなく最も弱い技術分野で実施し、試用期間中に自社テンプレートのライブラリを作成してください。Solve の再利用可能テンプレートはまさにこのためにありますが、書くのは自社側の誰かです。
- ブラウザ専用で、MCP サーバーも公開 API もありません。 プラットフォームの外側から自動化できる部分はなく、ドラフトはデータではなくドキュメントとして出てきます。ガード: エクスポート形式と一括エクスポートの権利を契約に明記し、ベンダー変更でポートフォリオが座礁しないよう IPMS を記録システムとして維持してください。
- 上記の根拠はほぼすべてベンダー提供です。 700 以上のチーム、ドラフティング時間の 60〜80% 削減、1 ユーザーあたり週次アクションの 265% 増 — いずれも Solve 自身の数字であり、独立した監査は受けていません。ガード: 試用前の 10 件と試用中の 10 件について、出願 1 件あたりの弁理士工数を測定してください。更新交渉を生き残る数字はそれだけです。