ロゴリテンションとは、期間の終わりに顧客であり続けている顧客(アカウント、「ロゴ」)の割合のことで、各顧客がいくら払っているかは無視します。頭数を数えるのであって、ドルを数えるのではありません。四半期を 200 アカウントで始め、期末に 184 がまだアクティブであれば(新規販売を加える前で)、ロゴリテンションは 92% です。
ロゴリテンションは revenue retention ではありません。GRR と NRR は各アカウントをその ARR で重み付けしますが、ロゴリテンションは各アカウントを等しく重み付けします。5 seats のスタートアップがチャーンするのは、最大のエンタープライズアカウントがチャーンするのとまったく同じ重みです。この違いこそが両方を計測する理由であり、ロゴリテンションを単独で読むと嘘をつきうる理由そのものです。
計算式
ロゴリテンション = (期初のアカウント数 − 期間中にチャーンしたロゴ数) / 期初のアカウント数
ロゴチャーン率 = 期間中にチャーンしたロゴ数 / 期初のアカウント数
数えるのは期の開始時点に持っていたロゴだけです。期の途中で獲得した新規アカウントは分子からも分母からも除外します。そうしないと新規販売がチャーンを覆い隠してしまいます。四半期を 200 アカウントで始め、16 を解約で失い、30 を新規契約したチームはこう報告します。
- ロゴリテンション = (200 − 16) / 200 = 92%
- ロゴチャーン = 16 / 200 = 8%(四半期)
この数値に expansion や新規ロゴをネットしてはいけません。ロゴリテンションには NRR のような「expansion」の対応物がありません。アカウントは維持された(1)かチャーンした(0)かのどちらかです。新規顧客を足す「ネットロゴ」の数値は成長指標であってリテンション指標ではないので、両者は分けて扱います。
件数ベース vs 売上ベース:それぞれが真実を語るとき
2 つのビューが最も乖離するのは、売上が集中しているときです。100 アカウントを想像してください。90 が ARR $5K の小規模、10 が ARR $200K のエンタープライズです。合計 ARR は $2.45M で、その 82% は 10 ロゴに乗っています。
- 小規模アカウントを 10 失うと、ロゴリテンションは 90% に下がりますが、GRR はほとんど動きません($2.45M のうち $50K を失っただけで、ドルベースでは 98% 超の維持)。件数指標は叫び、売上指標は肩をすくめます。
- エンタープライズアカウントを 1 失うと、ロゴリテンションは 99% で一見完璧に見えますが、GRR はその 1 件の損失でおよそ 92% まで急落します。件数指標は肩をすくめ、売上指標は叫びます。
これがルールです。ロゴリテンションは低集中・高ボリュームの book で真実を語ります(PLG、SMB、トランザクショナル)。そこでは各アカウントの規模がほぼ同じで、プロダクトやオンボーディングがスケールで失敗しているという早期シグナルが必要です。revenue retention は集中したエンタープライズの book で真実を語ります。そこでは一握りのロゴが数字を支え、1 件のチャーンが年を作り変えます。間違った book で片方だけを読むと、間違ったものを最適化することになります。
誠実なダッシュボードは両方を並べて表示し、その差自体がシグナルになります。ロゴリテンションが GRR を顕著に上回るなら、チャーンが小規模アカウントに偏っています(多くの場合は問題ありませんが、ローエンドの packaging 問題のこともあります)。ロゴリテンションが GRR を顕著に下回るなら、大きなアカウントを維持しながら多くの小さなロゴを失っています。これは self-serve やオンボーディングの問題で、まだ売上には響いていないものの、より大きな cohort に達した時点で響いてきます。
良い率とは
セグメントと契約期間によって変わるため普遍的な数字はありませんが、B2B SaaS のおおよそのバンドは次のとおりです。
| セグメント | 年間ロゴリテンション |
|---|---|
| SMB / self-serve | 80-90% |
| ミッドマーケット | 85-92% |
| エンタープライズ | 90-95%+ |
月次の SMB ツールはこれより低く、複数年のエンタープライズ契約はこれより高くなります。単に失敗しうる更新イベントが少ないからです。常に期間を明示してください。四半期のロゴチャーン 3% はおよそ年間 12% であり、混同すると 2 つの数字はまったく異なる健全性を表します。
よくある落とし穴
- 集中した book でロゴリテンションを単独で読む。 96% のロゴ率は、GRR を破壊したエンタープライズの損失を隠します。ガード:ロゴリテンションは必ず GRR と並べて報告します。指標はこのペアであって、どちらか一方ではありません。
- 期中の獲得を分母に入れる。 新規ロゴをベースに混ぜるとリテンションが水増しされます。ガード:cohort を期初で固定し、新規アカウントは今期ではなく次期のベースに入れます。
- 「チャーン」のタイミングが曖昧。 ロゴがチャーンするのは解約日か、契約終了日か、最後の seat が無効化された時か。ガード:契約終了日を選んで文書化し、一貫して適用します。ほとんどのツールはこれをデフォルトにしています。
- 期間を混ぜる。 今四半期のロゴリテンションを昨年の年間値と比較しても意味がありません。ガード:年換算するか、同種の期間どうしでのみ比較します。
関連
- NRR vs GRR — ロゴリテンションと並べて読む売上加重のビュー
- チャーン率の計算 — ロゴチャーンはロゴリテンションの裏返し
- Expansion revenue — ロゴリテンションが意図的に無視するもの
- Customer health score — ロゴがチャーンする前の先行指標