概要
Backstory は、2026-04-21 まで People.ai という社名だった会社です。プロダクトは変わっていません。顧客対応を担う社員が買い手とやり取りしたメール、会議、通話、チャットをすべて取り込み、各アクティビティを Salesforce 上の正しいアカウント、コンタクト、商談に紐付けたうえで、その記録をもとに質問に答えます。どの商談が本物か、どれが冷え込んでいるか、顧客側の誰が反応しなくなったか、といった質問です。社名変更とともに新しい打ち出し(「Revenue Answers Platform」)が加わり、people.ai は現在 backstory.ai へ 301 リダイレクトされています。
同社は 2016 年に Oleg Rogynskyy が創業し、調達総額は約 2 億ドルです。そのうち 2021 年 8 月の 1 億ドルのシリーズ D は Akkadian Ventures と Mubadala Capital がリードし、評価額は 11 億ドルでした。SVP of Marketing and Strategy だった Jason Ambrose が 2025-10-30 に CEO に就任し、Rogynskyy は取締役会に残っています。公表されている顧客には Red Hat、AMD、OpenAI、Zscaler、Palo Alto Networks、Five9、AVEVA があり、ベンダーはプラットフォーム上の営業担当者が 10 万人を超えると述べています。
このページが答える問いはこうです。アクティビティキャプチャは Gong や Clari とは別に買うべきか、それとも Salesforce 自身から買うべきか。
RevOps スタックに登場する理由
- 中核はアクティビティキャプチャです。 Backstory はメールとカレンダー(Gmail、Outlook)、通話と会議(Zoom、Teams)、チャットを読み取り、営業担当者が何も入力しなくても、紐付け済みのアクティビティを CRM に書き込みます。現在対応が明記されている CRM は Salesforce、Microsoft Dynamics、Oracle で、複数の CRM の同時利用にも対応しています。HubSpot はリストにありません。CRM hygiene の課題が「アクティビティが欠けている、または間違った商談に紐付いている」ことなら、まさにそのために作られた製品です。
- フォーキャストも同じ記録の上で動きます。 AI-native Forecasting は 2025-10-02 に GA になりました。Salesforce 内でのボトムアップのフォーキャストで、取り込んだアクティビティから商談の評価項目を埋めるエージェントと、商談リスクをパイプライン全体で集約する「Top Stories」ビューを備えています。Clari に対する主張は、フォーキャストの出発点が営業担当者の入力ではなく、買い手が実際に取った行動だという点です。
- MCP はすべての顧客が利用できます。 MCP 連携は 2026-02-18 にリリースされ、発表時点で全顧客が利用可能になりました。Claude、Microsoft Copilot、ChatGPT、Gemini、独自エージェントを、取り込み済みのアクティビティと CRM データに接続します。発表では Red Hat の CRO である Andrew Brown のコメントが引用されています。つまりアナリストは、レポートを作る代わりにチャット画面から「コミット中の商談のうち、30 日間エグゼクティブとの接触がないものはどれか」と尋ねられます。MCP サーバーとは何か も参照してください。
- アナリスト評価。 Gartner 初の Revenue Action Orchestration の Magic Quadrant(2025 年 12 月、対象 12 社)で Visionary に位置付けられました。Leaders は Gong、Clari、Outreach でした。
価格
公開の価格表はありません。価格ページはハイブリッド型のモデルを説明しています。接続する顧客対応担当者(営業担当者、CS、チャネルパートナー)ごとの料金に加え、AI の「回答」(リスクアラート、商談サマリー、コーチングの指摘)の前払い枠を購入します。閲覧のみのユーザーは無制限で、ライセンス料はかかりません。Backstory は精算方針を「True Forward」と呼んでいます。契約期間中の超過請求はなく、利用量の変化は更新時に価格へ反映されます。
本日確認した Vendr の購買データでは、年間契約額の中央値は 48 件の購入で 24,480 ドル、範囲は 2,000 ドルから 123,336 ドル、交渉による平均削減率は 15% です。第三者の価格ガイドは、接続ユーザー 1 人あたり月額約 50 ドルを入口価格として挙げています。
目安としては、アクティビティを取り込みフォーキャストを回す 40〜60 人の営業チームで年間 20,000〜35,000 ドルです。フォーキャストを含み回答の消費量が多い 300 人規模のエンタープライズ導入では 100,000 ドルを超えます。導入費用は別見積もりです。
最適な導入先
Salesforce または Dynamics を使い、顧客対応担当者がおよそ 75 人から数千人規模の企業の RevOps リーダーと CRO 組織です。フォーキャスト会議が「この商談で実際に何が起きているのか」で止まり、CRM のアクティビティデータが薄すぎて答えられない状況が前提です。最も適しているのは、メールと会議の比重が大きいエンタープライズ営業、同じアカウントに複数のチーム(営業、CS、パートナー)が関わる組織、そしてアクティビティデータを別アプリに閉じ込めず Salesforce のレポートで扱いたい RevOps チームです。
向いていないのは HubSpot を使っている場合で、対応していません。営業担当者が約 30 人未満の場合も向いていません。マネージャーが毎週 CRM を確認するほうが、契約と導入の費用より安く済みます。
代替製品との比較
- Gong — 売上ではカテゴリ最大のベンダーで、2026 年 5 月に ARR 5 億ドルを超えました。録音された通話が主要なシグナルで、通話のコーチングが目的なら Gong を選んでください。商談の経緯が大規模な購買委員会とのメールスレッドやカレンダーにあり、そのすべてを Salesforce に正しく紐付けることが目的なら Backstory を選んでください。
- Clari(Clari + Salesloft) — 同じ Magic Quadrant の Leader で、独自の Capture モジュールと MCP サーバーを持っています。金曜のフォーキャスト会議がガバナンスのプロセスで、エンゲージメントにすでに Salesloft を使っているなら Clari を選んでください。エンゲージメント層を売らないベンダーからキャプチャとフォーキャストを買いたいなら Backstory を選んでください。
- Salesforce 純正のキャプチャ — Einstein Activity Capture は Salesforce のエディションに含まれており、Summer ‘25 リリース以降は新たに同期したメールを Salesforce のネイティブレコードとして書き込みます。ただし旧モデルで保存された過去のアクティビティは移行されていません。さらに Salesforce は、通話・アクティビティキャプチャで最も注目された新興企業 Momentum の買収を 2026-03-02 に完了し、Agentforce の一部として販売しています。Agentforce に本格的にコミットしていて、メールとカレンダーの同期で足りるなら純正を選んでください。通話、会議、チャットのキャプチャを商談レベルで紐付ける必要がある場合や、複数の CRM を運用している場合は Backstory を選んでください。
- Aviso または BoostUp — フォーキャストだけが欠けていて、アクティビティデータはすでに十分な水準にあるなら、どちらかを選んでください。
冒頭の問いへの直接の答えです。Gong や Clari がすでに完全で正しく紐付いたアクティビティを Salesforce に書き込んでいるなら、Backstory を追加で買わないでください。まず紐付け率を監査し、欠けがあると分かったときに買ってください。
どれも合わない場合、欠けているのはたいていデータモデルです。誰も入力しない商談のコンタクトロールや、誰も管理していないアカウント階層は、どのキャプチャツールでも直せません。
注意点
- 従量課金の価格は更新時に動きます。 「True Forward」は契約期間中の予想外の請求がないことを意味しますが、1 年目の回答の大量消費が 2 年目の価格になります。対策: 回答の割当量、追加回答の単価、利用状況レポートを注文書に明記させ、更新時の値上げ上限を書面で決めてください。
- 導入は売り文句より時間がかかります。 ベンダーは 2〜4 週間としていますが、2026 年の第三者レビューでは 3 か月近くかかったと報告されています。紐付けの精度は、Salesforce のアカウントとコンタクトのデータがすでにどれだけ整っているかに左右されます。対策: 1 つのリージョンで 60 日間のパイロットを行い、未クローズの商談に紐付いたアクティビティの割合について書面で目標値を定め、その達成を全面展開の条件にしてください。
- ベンダーは移行期の最中にあります。 2025 年 10 月に CEO が交代し、2026 年 4 月に社名が変わり、2021 年以降は評価額を伴う資金調達がありません。対策: 取り込んだアクティビティが自社の CRM に書き込まれること(解約しても手元に残ること)を確認し、データのエクスポートと契約終了時の支援の条件を契約書に入れてください。
- 買い手とのメールと文字起こしをすべて読み取ります。 Backstory は SOC 2 Type II と ISO 27001 を掲げ、顧客データを基盤モデルの学習に使わないと明言し、テナント単位で AI 機能を無効化できます。一方で、公開されているインフラは US-East が主拠点、US-West が災害復旧用です。対策: EU の社員や買い手が関わる場合は、保存期間を明記した DPA を締結し、法務、人事、個人のメールボックスをキャプチャ対象から除外し、有効化の前に従業員代表(労使協議会)の了承を得てください。
- MCP によって、そのデータを照会できる範囲が広がります。 MCP で接続した AI クライアントは、CRM の項目だけでなくメールや文字起こしにも届きます。対策: 営業担当者レベルのアカウントでコネクタをテストし、Salesforce の共有ルールが守られていることを確認してから、RevOps 以外に開放してください。
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