概要
Fathom は Zoom、Meet、Teams の通話を録画・文字起こしし、要約を作成したうえで、要約とアクションアイテムを Salesforce、HubSpot、Slack、Notion、Asana に書き込む AI ノートテイカーです。Gong に対するフリーミアム版の回答であり、1人で使う分には永久に無料、CRM への書き戻しやチーム全体の通話横断検索が必要になった時点で有料になります。
2026年に2つの変化がありました。Fathom はボットなしのキャプチャとデスクトップアプリを追加し、参加者一覧にボットを出さずに通話を録画できるようになりました。さらに公開 API と MCP サーバーを提供し、その上に ChatGPT と Claude のネイティブ連携が乗ったため、人が手作業で掘り返す代わりにエージェントが通話履歴を照会できます。ベンダーのドメインも fathom.video から fathom.ai に移り、旧ドメインは301で新ドメインへリダイレクトします。
RevOps スタックで採用される理由
- 無料プランに録画の上限がありません。 調達部門が把握する前に、現場のレップがボトムアップで導入します。$0 で録画・文字起こし・要約が無制限であることが、広まる理由です。
- 要約は最初の通話から使えます。 Premium 以上で15種類を超える要約テンプレートが使え、出力が読むに値するまでにプロンプト調整の工程を挟む必要がありません。
- エージェント接続がネイティブになりました。 公開 API と MCP はすべての有料プランに含まれるため、サードパーティのコネクタを挟まずに文字起こしを Claude や ChatGPT のワークフローへ流し込めます。
- 採用への横展開。 TA チームは候補者のインテイク面談で使っています。ワークフローは同じで、対象の ICP だけが異なります。
料金の実態
1ユーザーあたりの月額です。2026-08-31 に fathom.ai/pricing で確認しました。
- Free — $0。録画、文字起こし、要約、クリップ、検索が無制限。CRM 連携はなし。
- Premium — 月払い $20、年払い $16。15種類を超えるテンプレートによる高度な要約。Ask Fathom は同時に1通話のみ。1席から、最低席数なし。
- Team — 月払い $19、年払い $15、最低2席。CRM 連携と、自分の通話に対する無制限の Ask Fathom。
- Business — 月払い $34、年払い $25。抽出したインサイトを指定した CRM フィールドにマッピングする CRM フィールド連携と、カスタム要約テンプレートが加わります。
- Enterprise — 見積のみ。SSO、Okta SCIM プロビジョニング、データ保持期間のカスタム設定、専任のサクセスマネージャー、優先サポート SLA。
料金表が明示していない点が2つあります。Team は Premium より1席あたり安い — 月払いで $19 対 $20、年払いで $15 対 $16 — うえに CRM 連携まで解放されるため、2人以上なら Team が正解です。Premium が正しい予算項目になるのは、1人で使う読者だけです。
2つ目が本当の予算の落とし穴です。Team と Business の CRM 連携は 1ドメインあたり3ユーザー が上限です。20人のレップ全員にパイプラインへの書き戻しをさせたいチームは、1席 $25 では収まりません。Enterprise の見積になります。展開計画を数字に落とす前に、見積を取ってください。
適した用途
通話要約を商談レコードに紐づけたい、かつ商談スコアリングまでは買わない、5〜50人規模のレップを抱える RevOps・営業責任者。インタビューインテリジェンスの契約を結ばずに構造化されたインテイクメモを残したい TA チームにも向きます。
次の場合は使わないでください。 コーチングのワークフロー、スコアカード、商談リスクのスコアリングが必要な場合です。Fathom にはレベニューインテリジェンスの層がなく、プランを上げても追加されません。SSO と強制的なデータ保持が必要なコンプライアンス要件の重い組織も同じ答えになります。これらは見積のみのプランの裏側にあるため、入口の価格はもはや価格ではありません。
代替候補との比較
- Gong — Fathom は録画して要約し、Gong は点数をつけます。商談インスペクション、フォーキャストのリスク、レップのコーチングを求める営業責任者が予算を持っていて、Fathom の1席あたり年間 $180〜300 に対して5桁ドルの年間契約を正当化できるなら Gong です。
- Otter.ai と Fireflies — 席数ベースで市場最大の2つのノートテイカーです。Otter はユーザー単位のノートテイカーではなく全社的なナレッジ層として再定義しました。Fireflies は AI の利用量を月次のクレジット上限で計測し、ストレージを段階化しています。席単価を抑えたく、クレジット上限と付き合えるなら Fireflies です。席あたりのコストを一定に保ち、自分の通話における AI 利用を無制限にしたいなら Fathom です。
- Granola — 最も成長の速い新規参入で、部屋にボットを入れず、自分で打ったメモを補強する設計です。社内会議が中心で、録画ボットが場の空気として気まずいなら Granola です。社外通話が中心で、CRM への書き戻しが必要で、後から誰かが録画を求めるなら Fathom です。Fathom のボットなしキャプチャはこの差を縮めますが、埋めきってはいません。Granola はメモ起点、Fathom は録画起点です。
注意点
- Team と Business の CRM 連携にある1ドメイン3ユーザーの上限。 対策: 契約前に、書き戻しが本当に必要な席数を数えてください。3を超えるなら、2か月目に上限を発見するのではなく、最初から Enterprise の見積を取ります。
- どのプランにもレベニューインテリジェンスはありません。 対策: 来年度の計画にフォーキャスト精度やコーチングの要求が入っているなら、Fathom は暫定ツールとして扱い、エクスポート経路を確保しておいてください。公開 API と MCP サーバーがあるため、通話履歴は後から Gong や Chorus へ移せます。
- ボトムアップの普及が録音ポリシーを追い越します。 対策: ポリシーのないままレップがノートテイカーを起動する状態は、両当事者の同意を必要とする法域で法務問題に変わります。無料プランが広がる前に、同意とデータ保持のルールを書いてください。後からでは遅いです。
- Enterprise 未満の管理者向けコントロールは手薄です。 SSO と SCIM は見積のみのプランにしかありません。対策: 情報システム部門が SSO を必須とするなら、Business の年払い $25 ではなく Enterprise の見積で予算を組んでください。